ショルティ指揮のコンサート、オベラや関連映像などのページです。
DVDとビデオが混在しており、入手可能かどうかも不明なものがありますが、
数少ないショルティの映像です。堪能しようではありませんか。
なお、海外から購入する場合は、リージョンコードの問題があります。
リージョン対策について少しまとめてみましたので、参考にしてください。
1995年7月5日、スイス・ジュネーブのヴィクトリアホールで開かれた国連創立50周年記念コンサートの映像。
以前、音源だけは発売されていたが、今年この際に創られたワールド・オーケストラ・フォー・ピースが10周年を迎えたことから、ゲルギエフ指揮のCDと、このショルティのDVDが2枚組で発売されたもの。
リハーサル風景やインタビューもあり。
このようなブルジョアのお祭り騒ぎ(と書くと言い過ぎだろうか)にバルトークをねじ込むのはショルティしかいないだろう。
が、それぞれのパートが「個」であり、かつ「全体」と連携しつつ調和する、といったタイトルの曲は、このコンサートの趣旨に合っていたかもしれない。
おかげで、オケコンを振るショルティという貴重な映像を見ることができる。
1995年4月19日と20日にウィーンのムジークフェラインザールで行われたショルティ-VPOの定期演奏会のライヴ。
タイトルが示すように、ハンガリーの作曲家やハンガリーつながりの曲が選ばれている。
何かと「悪い」噂のあったショルティとVPOの関係だったが、世代がかなり変わったせいか、ショルティもオケのメンバーも割とリラックスムード。「Golden Ring」とはえらい違いである。もちろん演奏は真剣なのだが、適度に力の抜けた爽快な演奏が聴ける。
冒頭の「ハーリ・ヤーノシュ」は個人的に好きな曲で、特に第2曲の「ウィーンの音楽時計」はクセになりそうだ。師匠の曲を振れる、ということがとても嬉しい、ということがショルティの表情から読み取れる。リズム刻みが重要な曲であるにもかかわらす、むしろ、みずから演奏を楽しむかのように要所以外ではオケに任せているようにも思えた。また、なかなか目にすることができない楽器ツィンバロンの「実演」も楽しめる。
ところで、第5曲が終わった時点で拍手が入る、ということは、ウィーンの聴衆にもあまり馴染みのない曲だったのかもしれない。VPOの客でもこうなんです。途中の楽章が終わって拍手をする「初心者」さんがいても馬鹿にしないようにしましょう。
師匠の小品2曲と昔からの得意曲は、さすがに颯爽とした仕上げり。
ラストのベト7は指揮者にとってもオケにとっても手慣れた曲だが、そんななれ合いは感じられない。決してテンポは速くないが非常に構築的かつメロディアスな演奏だ。緩叙楽章でもフレージングに表情をつけることを怠らず、芯のある作り方になっていてだれることがない。また、時々VPOの金管はひどいのがあり、敬遠していたこともあったが、そんな心配は今回は無用だった。CSOのように派手に鳴らすことはないにせよ、当時82才のショルティだが、「枯れた」とか「なあなあ」といった印象の全くない生気に充ち満ちた快演。
パイオニアの「名指揮者の軌跡」シリーズVol.3。
曲目は、「タンホイザー序曲」と「ハンガリー行進曲」のリハーサルと本番、全87分。
曲自体が短いのと、国内盤は4,700円と高めだったので長らく買わなかったのだが廃盤になる前に、と買っておいたところ、2006年4月に廉価盤で出ることになった。わははは。
というわけで、まだ持ってない人はこれを待ちましょう。
日本語字幕監修とライナーノーツの解説は金子建志によるもので、自身もオケを振られる方だけに短くも適格な説明がありがたい。
さて、中身のほうだが、「タンホイザー序曲」が1966年、「ハンガリー行進曲」が1967年、つまりリングが完成した後、ショルティがノリにノっている時期である。
「The Golden Ring」と時期が近いため、あの溢れんばかりの情熱を体中から発散させているショルティを見ることができる。
このシリーズの他の指揮者のリハーサル映像を見ていないのではっきりとは言えないが、ショルティの指示は非常にわかりやすい。
「タンホイザー序曲」でチェロにレガートの指示を出すのに、「右手の弓は軽く、押さえつけずに、左手で弾くように」とか、リズムを確認させるために休符も音を出して演奏させてみたりと、高校時代しか楽器をやっていない僕でも、なるほど、と感心してしまった。
(文学的表現で指示をだして、分からない楽員をバカにしてれば、指揮者の虚栄心は満足するだろうが、実際に音を出すのは楽員のほうですからねえ。)
その一方で、「ここはタンホイザーの懺悔のシーンだから、理解して表現せねば」とか、なぜこのフレーズがこの楽器に割り当てられているか、ということは端的に説明するあたりは、名トレーナーと言われた理由が非常に良く分かる。
また、「ハンガリー行進曲」は、ショルティがよく演奏していた曲だが、この曲がハンガリー解放の曲である、とオケに説明するシーンを見ると、並々ならぬ思い入れをこの曲に抱いていることがうかがい知れる。
今度から僕も、この曲は心して聴くようにしよう。
それ以外にも、
「初めて真実が現れました。」
「一度体で覚えるとこれ以外は弾けなくなりますよ。」
「チェロは目覚めて花咲くように」
「低音が音楽に命を与えます。」
などなど、ショルティの名言満載の必携DVDである。
ショルティの代表作「ニーベルングの指輪」のメイキング映像。1965年BBCが制作したもので、「神々の黄昏」の録音風景を収録している。
また 5.1ch版のハイライツも音だけだが、69分収録されている。
当時ショルティはすでに50才を越えているが、凄まじく激しい指揮ぶりで、見ているこちらの方がはじき飛ばされそうな勢いである。
ウィーンフィルのメンバーから、「絞め殺してやりたい」なんてコメントが飛び出した、などといわれているが、ショルティの方が、ウィーンフィルを叩き殺しそうだ。
とはいえ、インタビューではウィーンフィルをほめちぎっているから、このころになると関係は改善されていたのかもしれない。
カルショウがロスマンズ喫ってる、さすがイギリス人、などとアホな見方もできるが、ショルティの指揮姿の映像としては、もっとも古いものだし、あまりにも確信的なインタビューの返答にも、はい、そうですね、と頷くしかない。
ワーグナーとファシズムの関係について訊かれても、「それは音楽とは関係ない。」と断言。
ショルティが目指したのは、無国籍でも存在し得る音楽だったのだろうか。
ショルティ・カルショウの他、ニルソン、フィッシャー・ディースカウなどのインタビューも収録されているのでオペラ・ファンの方には興味深いだろう。
なお、うちのサイトからリンクしてもらっている、「トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好」の「ショルティの《ゴールデン・リング》(DVD)の秘密」によると、このディスク、英語版とドイツ語版と両方はいっており、音声だけでなく、中身も少し違っているらしい。
ドイツ語のできる方は確認してみてください。