The Soltians' Salon

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for beginners

このサイトは、勿論クラシック初心者大歓迎です。
幸運なことに、ショルティのレパートリーは非常に多いため、かなり広範囲にわたってカバーすることができます。
ただし、「クラシックは癒しの音楽でなければならない!」と信じ込んでいる方や、「ちょっと胎教のための音楽を探しに…」にという方、 「そろそろ教養にクラシックでも聴いておこうか」という方々には、刺激の強い場合がございます。
あらかじめご了承くださいませ。

初心者のためのショルティ講座

サー・ゲオルグ・ショルティ 1912年10月12日 ハンガリー生まれ、1997年9月7日没

わかりやすいところで言えば、「地獄の黙示録」のあの「ワルキューレの騎行」の指揮者で、時代が下ったところでは、ゲイリー・オールドマン主演の映画「ベートーヴェン 不滅の恋人」のサントラの音楽監督である。
知名度という点では、カラヤン、バーンスタインと並ぶ、20世紀、特に戦後を代表する指揮者。
元々はナチスの迫害を逃れスイスに亡命を強いられたり、地方のオペラ座の監督等を歴任していたが、ユダヤ人でありながら、ワーグナーの大作「ニーベルングの指輪」の初のスタジオ録音をウィーンフィルと共に完成させ、一躍トップ指揮者になる。

1969年からのシカゴ響楽団との蜜月時代にはカラヤン-ベルリンフィルと並ぶ世界最強の音楽チームとして認められ、コンサートに録音にと他の追随を許さない完成度の高い音楽を世界に提供した。
そのレパートリーは多岐にわたり、バッハからショスタコーヴィチまで幅広く網羅。おそらく有名交響曲作家で一曲もやっていないのはシベリウスぐらいではないか。 意外なことに、現在、ワーグナーの10大オペラ、マーラー交響曲全集、ブルックナー交響曲全集を出しているただ1人の指揮者でもある。

ショルティの音楽の特性は、硬派、豪快、ダイナミックで、甘えのない厳格かつ躍動感にあふれる演奏。その反面 、比類なき生彩に満ち満ちた輝きを放つ。早いテンポでオケを煽り、楽器を鳴らしまくるため聞き逃されてしまうが、対位法などのオーケストレーションを含む曲の構造に留意し、精緻なアンサンブルを要求するといった論理的なアプローチも特色の一つで、完全主義者といわれる所以でもある。

ダイアナ妃、マザーテレサが亡くなった数日後、療養先の南フランスにて急死。病や死といったイメージから最もほど遠かった指揮者だけにショルティの固定ファン以外のクラシックファンにも衝撃を与えた。
ショルティのスケジュールには、翌週のダイアナ妃の追悼コンサートの指揮や、2000年の予定まで入っていたという。

尚、日本ではショルティ評は真っ二つに分かれる。はまるヤツははまるが、嫌いな人はとことん嫌いである(誰とはいわないが)。
やれ、デリカシーがないの、淋しさがないの、精神的に浅いだの、会ったこともないのにこういう文章を書ける方がよっぽどデリカシーがないと思うんだが、どうも妙な西洋芸術に対するコンプレックスがあるのか、文学趣味に走るのか、あまり芳しい評価は多くない。
というわけで、日本では、「異様に有名なカルト指揮者」のような、妙な扱いになっている。

そうでなくてもクラシックファンだといえば、バカにされるか、変人扱いされるか、「心配」されることもあるというこのご時世に(一度など、「妹はポップス聴いてます」と言ったら、「妹の方がしっかりしてんじゃねえか」というワケのわからん事を言われたことがある。さすがにそんなバカは1人だけだったが)、クラシックファンからの攻撃まで浴びなきゃならない。困ったもんである。

まあ、安心してクラシックファンをやっていたけりゃ、フルトヴェングラーだけ聴いておきましょう。
「生き延びるためにはタフでなきゃダメだ」 とはオルフがショルティに言った言葉だが、ショルティファンもタフでなきゃやっていられない。

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