The Soltians' Salon

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このページでは、僕の独断に基づいたショルティの代表作を紹介します。
また、同曲異演もいくつかあるため、それも僕好みで解説しましょう。
ショルティ・ファンもアンチ・ショルティ派の方もご参考までに。

Solti's brilliant works

ベートーヴェン:交響曲第5番 VPO

泣く子も黙るクラシック随一の有名曲。カラヤンやフルトヴェングラーには及ばないがそれでも録音は4枚ある。CSOが2枚とVPOが2枚だ。が、ショルティアンにとっての「運命」とは、なんと言っても一番古い58年のVPOとの演奏。これが一番人気である。
ぶちかましの一楽章、滔々とした二楽章、弾むような三楽章、昇天しそうな四楽章、あのVPOが悲鳴をあげているかのような、凄まじい演奏。これを聞いた後ではフルトヴェングラーですら物足りない。ただ、なぜか低音部の録音が弱く、それが唯一残念な点だろうか。
最新の90年のVPO盤も、カクシャクとしてなかなかいいが、旧盤ほどの剛毅さはない。
CSOとの録音は非常に丁寧で、教科書みたいな演奏。音はきれいだから、初心者および「ゆったりクラシック」という方にはいいかもしれない。 ショルティはCSOとのベートーベン全集が2種類あるのだが、3番、5番、7番に限ってはVPOを聽くべし。
とはいえ入手困難ではあるが、数年前にデッカ・レジェンドで復活しているから、何とか発見できると思う。

マーラー:交響曲第1番 CSO

これほど硬派の「巨人」はない。激しさと厳しさ、その隙間から滲み出す切なさ。至高の逸品。

マーラー:交響曲第2番「復活」 BPO

おそらく、マーラーの中でも、9番と並んで最も個性的な名盤に恵まれている曲だろう。
ショルティの演奏は現在、正規盤のLSO、CSOの他、このBPOの3種が聴けるが、一番凄まじいのがこのBPO盤。
ブートレグのため、おおっぴらにはお薦めできないのだが、この凶暴な演奏、はじき飛ばされるか、共に錯乱するか、どっちかだ。

マーラー:交響曲第5番 CSO

記念すべき、ショルティ-CSOの初録音。葬送行進曲から始まり、天上の見果てぬ楽園を讃えて終わるこの曲を峻厳に再現した名演。発売当時も衝撃的だったらしいが(僕の生まれた年だから知らんのだが)今でもこの曲の極北に在る。
90年にもライブ盤が出ていて、そっちもいいのだが、旧盤のショックからはなかなか抜けられない。

ブルックナー:交響曲第8番 CSO

ブルックナーの最高傑作といっていいこの長大な曲の録音は3種ある。正規盤では60年代のVPOと90年のCSO、ブートレグの93年のVPO盤。一番いいのはCSO盤。僕は読んでいないが雑誌では酷評されたらしい。おそらくショルティ嫌いの評論家が書いたのだろう。この演奏はいわゆる「深い」演奏ではない。だから嫌われる。
が、それは逆だ。「高い」のだ。下から見上げた天上への憧憬ではなく、天上そのものの凛々しさと神々しさを、厳しくも美しいCSOのサウンドを駆使して創り上げたのである。
VPOの旧盤は少々チクハグ、93年のブートは、金管に問題あり。ちょっと勘弁して頂きたい。

ブルックナー:交響曲第9番 CSO

ショルティのブルックナーの中で一番優れた演奏。硬くもあり、しやなかでもあり、うるさ方のブルックナーファンの間でも割と評判はいいみたいだ。
もちろん、シカゴ響との7番も絶品。

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

ショルティ得意のバルトークの代表曲は、なんと確認済みだけで6種類出ている。うち3枚がブートレグとはいえ、この曲がこれだけ出ているのはさすが、バルトークの弟子たるゆえだ。
オケはばらばらで、正規盤ではLSO、CSO、国連50周年記念の特別オーケストラ、ブートレグではBRSO、RCOA、CSO、なお、現在、RCOA盤は僕は聴いていない。
さて、どれがいいのか。世間でもっとも評価の高いのはスタジオ録音CSO盤で、この難曲を軽々と演っているように聞こえる。1枚でいいならこれでもいいが、CSO盤が完璧すぎて面白くない、という偏屈者の方はLSOの旧盤がオススメだ。弦がブンブンうなって生々しい事この上ない。
それよりが良いのが、CSOとのライブ盤。これまた困ったことにブートなんだが、これを超える演奏ってあるの?
国連50周年のライブ盤はアンサンブルが若干甘いところもあるが、逆にいえば世界中から奏者が集まっているだけにさすがに音が分厚く、繰り返し聞くならこれがいいかもしれない。
RSO盤はカップリングのチャイコフスキーの6番がCSO盤より良かったので、買って損はない。ついでにいうとモーツァルトの40番も一緒に3曲も入っている。
ちなみに、「中国の不思議な役人」はLSOとCSOがそれぞれあるが、こっちは文句なしにCSOだ。ほとんどウルトラCの連続のようなとんでもない快演。

ワーグナー:管弦楽曲集 VPO CSO

ショルティと来て、これを外すわけにはいかない。勿論、僕がはまったのもこれである。
リングの方は、全曲盤からの抜粋盤と83年のバイロイト出演の前に創られたハイライト盤(どっちもVPO)があるが、どっちがいいとは言えない。歌入りで迫力ある抜粋盤、楽器だけで音質もハデなハイライト盤とどっちもいいからである。
管弦楽曲集はCSOの序曲集とオペラ全曲盤(オランダ人はCSO、それ以外はVPO)から集めたのと2種ある。
僕個人としても、曲によって2枚に好みがわたってしまうのだが、あえてCSO盤の方をとろう。
2枚組も出ていたはずだから、それを買うのもいいでしょう。

ワーグナー:「ニーベルングの指輪」 VPO

世界が認める偉業。ショルティの本当の代表作。

エルガー:「威風堂々」LSO

この躍動感でショルティの右に出るものはいない。ほんとに他の演奏が受け付けられない。
クラシック初心者の方は、こういうのから始めるのもアリです。

R.シュトラウス:「ツゥラトゥストラかく語りき」

R.シュトラウスもショルティ得意のレパートリーで、直接シュトラウスから指揮のコツを教わったオペラも非常にどれもハイレベルだが、やはり有名なのはこれでしょう。こういうにぎやかなのはさすがに得意のようで、CSOの他にもBPOとも録音している。どっちもオケにとっても十八番だから、甲乙つけがたいが、晩年、スコアを見直していて、「この曲を何も分かってなかった!」と気付いたらしく、その後録音されたBPOの方がやはり良い。

Solti not only to violent(暴れるだけがショルティじゃない!)

ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」 CSO

もちろん、CSOの巧さを生かした1.3.4楽章もカッコいいが、聴かれるべきは2楽章。
この曲の由来を知らなくても、このメロディは聴く者の琴線に触れずにはおかない。

シューベルト:交響曲「未完成」 VPO

ドイツ正統派的な重厚さではなく、旋律美に光をあてたとんでもなく美しい逸品。
「ザ・グレイト」とは対照的なアプローチでショルティのスコア読みの深さを思い知らされる。

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲

オケ版では、CSO盤とカーネギーホールオケ盤とがあるのだが、おすすめはショルティがピアノを弾いているピアノ2台盤。相方は「ベートーヴェン不滅の恋人」のサントラでも弾いているマレイ・ペライア。
実を言うと、この曲はこのバージョンで初めて聴いたから、オケ盤のほうが不自然に感じてしまう。
ショルティは、このキレイすぎる曲を実にリリカルに弾いている。因みにショルティを評して「ピアニストとしては秀逸…」と言ったのはチェリビダッケ。

Strange ?(こんなのもやってます)

チャイコフスキー:弦楽セレナード IPO
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク IPO

はっきり言って珍盤。この曲を聴くのにショルティを選ぶヤツはまずいまい。僕も最初見た時びっくりした。
この手の曲は、もっとしっとりした演奏の方がいいだろうとは思うが、こういうキビキビした演奏もいいではないか。
IPOの定評ある弦セクションを目いっぱい満喫できる。

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